社会的望ましさと価値観のバイアス
こんにちは。じんびです。
今日はアセスメント・ツールの使い方と回答の際の注意点について。
自己理解の参考にするために、
さまざまなアセスメント・ツールが開発されています。
質問に答えることで、自分自身の性格の傾向や
行動特性、向いている仕事などを分析してくれます。
多くのツールは自分で回答を選択するものなので、
前提として、その質問に答えられる程度には
自分のことをわかっていないといけないし、
質問には正直に答えないといけないということがあります。
たとえば次のような質問があったとします。
「安定した環境で安心して仕事をすることにやりがいを感じる」
この質問に答えるためには、
安定した環境と不安定な環境のどちらも経験した上で、
自分はどちらにやりがいを感じるかを判断する必要があります。
あるいは、他の人と話し合ったり比べたりすることで、
自分は安定した環境を好むと判断できるようになります。
そのため、まだ仕事をしていない学生や、
仕事を始めて間もない新入社員では
この質問に正確に答えることは難しいでしょう。
どのような質問を使うかはそれぞれのアセスメント・ツールによって違います。
対象の人のライフステージに合ったツールを選択することが重要です。
それとは別に、回答の際に気をつけないといけないことがあります。
それは本当に正直に回答できるかということ。
心理学で「社会的望ましさ(social desirability)」といわれる概念があります。
このようなアセスメント・ツールや心理テストにおいて、
社会的に望ましいと思われる事項に対して
実際よりもよい回答をすることなどで使われます。
たとえば、先ほどの質問例に対して、
安定が何より大事だという社会にいる人なら、
高い点数をつけるでしょうし、
チャレンジが大事だという社会にいる人なら
低い点数をつけるでしょう。
この社会的望ましさってかなりくせ者なんですよね。
その時代、その社会の多数派の価値観が、
社会的に望ましいと認められることになるわけですから、
どうしてもつける点数に影響してしまうのです。
たとえば、日本では「和」を大切にする文化があるため、
協調性のある人が好まれます。
そうすると、「チームワークを大切にする」とか、
「人の意見をよく聞く」というような質問に対して
実際よりも高い点数をつける傾向があります。
逆に欧米では、自分の意見を主張することが求められるため、
これらの質問には実際より低い点数をつけるかもしれません。
さらに言うと、社会的な望ましさだけでなく、
その人がどういう価値観を持っているかでも影響します。
社会的、あるいは自分の価値観と照らし合わせて、
「望ましい自分」になるように回答してしまうということです。
自己理解のためにアセスメント・ツールを使用するのに、
質問に正しく答えるためには、自分を知っていないといけない。
なんとも矛盾ではありますが。
実際には多くのアセスメント・ツールで、
質問のしかたを工夫したり統計的な処理を行ったりして
こうしたバイアスを調整し、精度を高めています。
それに、こうしたツールは万能ではありません。
どのようなツールもその人のすべてがわかるわけではありません。
さまざまな切り口で分析した部分的なものですので、
いくつかを組み合わせてみる、あくまでも参考として使う、
そういう考え方が大事になってきます。
それでもこうしたツールは、自己理解のためにはとても役に立ちます。
機会があればぜひ受検することをおすすめします。











