行動を変えるには「腹」で理解する

コミュニケーション

こんにちは。じんびです。

今日は行動を変えるために必要な「腹落ち」についてお話しします。

先日知り合いの社長さんが、ため息をつきながらこんなことを言い出しました。

うちの若い社員が経営理念をまったく理解しないんだよ。
何度も何度も伝えてるんだけどね

理解しないってどんな感じですか。意味がわからないってこと?

いやいや。意味はわかってると思う。ちゃんと説明もしているし。
でも理念に従った行動が取れないんだよな

なるほど。
まあ、そうでしょうね。

その社員さんはきっと理念をきちんと理解しているし、
なんなら暗唱もできるのでしょう。
重要性だってわかっているはずです。

でも人は「頭」で理解しているだけでは行動にはつながらないんですよね。
ここが見逃されがちです。

行動するには「腹」で理解しないといけないんです。
いわゆる「腹落ち」というやつですね。

社長さんは何度も何度も伝えたとおっしゃっていましたが、
言葉で伝えるだけではなかなか腹落ちしないのです。
10回伝えてだめなら100回、
100回でだめなら1000回伝えないといけません。

しかし一瞬で腹落ちすることもあります。
それは強烈な経験とともに理解したときです。

私の経験をお話しします。
私は歯があまり丈夫でなく、虫歯になりやすい体質でした。
なので、丁寧な歯磨きとデンタルフロスを使うことが
虫歯予防に効果的だと頭ではわかっていたのですが、
なかなか習慣にすることができませんでした。

しかし、学生時代のある夜、虫歯が痛み出し、耐えられないほどになりました。
それまでも虫歯の痛みは経験していましたが、
そのときの痛みは人生で一番というくらいひどいものでした。

夜だったので歯科医院にも行けず、
朝の診察開始時間まで激痛に耐えながら眠れない夜を過ごしました。

朝一でかかりつけの歯科医院に駆け込み、
やっと痛みから解放されたのですが、
人生で最も長くつらい夜でした。

それ以来、私は丁寧な歯磨きとデンタルフロスを欠かしたことがありません。
痛みで眠れない夜が、私にデンタルケアの重要性を「腹落ち」させたのです。
そして一瞬にして習慣化することができました。

こんなふうに、痛い思いや恥ずかしい思いをした経験は、
頭でなく腹で理解するきっかけになります。

でも、できれば痛い思いをせずに腹落ちしたいものです。

もうひとつの方法は、「物語」を使うというものです。
理念に従った行動をとるとはどういうことなのか、
物語として伝えるやる方です。

たとえば、昔話や童話などは、教育的役割や教訓を含んでいるものがたくさんあります。

舌切り雀ではおじいさんが選んだ小さなつづらには財宝が、
おばあさんが選んだ大きなつづらには虫やムカデが入っていました。
謙虚な人がいい思いをし、強欲な人は痛い目に遭うというメッセージが含まれています。

金の斧では、正直なきこりは自分の斧に加えて金の斧と銀の斧を手に入れましたが、
嘘つきのきこりは自分の斧も失ってしまいました。
正直者が得をし、嘘つきは損をするという教訓が込められています。

このように、物語で伝えられるメッセージは、
私たちの無意識に直接働きかけるという効果があります。
なので、伝えたいメッセージは物語にして届けることで、
相手の心の奥深くに響き、腹落ちしやすくなります。

物語を疑似体験することで、直接痛い思いをしなくても、
腹で理解することができ、取るべき行動が取れるようになるのです。

「神話」とはその国の価値観を形成する重要な物語です。
同様に、企業の価値観を形成する物語を「会社の神話」として伝えることで、
ただ理念を言葉で説明するよりも伝わりやすくなります。

会社の神話とは、社員ひとりひとりの物語です。
社長さんを含め、歴代の社員さんたち、関わった関係者、
そういう人たちの喜びや苦しみ、成功や失敗の物語を
神話として蓄積していくことが企業の大きな財産になっていきます。

そんな話をその社長さんにしました。

私の武勇伝ならたくさんあるんだけど (笑)

いやいや、自慢はほどほどにね(^^;
でもそのときの思いとか、大切にしてきたこととか、
それを理念と関連付けて伝えたらもっと腹落ちすると思いますよ。

あと、社長さんだけでなく、社員さんの神話も語ってくださいね。
先輩たちの思いが伝われば、自然と行動が変わるんじゃないでしょうか。

社長さんは楽しそうな顔で帰っていきました。
これからどんな物語が語り継がれていくのか楽しみですね。